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Hudson River hero [その他]

食べ物以外の記事、2回目です。
2001年9月11日ニューヨークにおいてパイロットにとって一番屈辱的な、そして悲しい事件「911」が発生しましたが、今日はそのニューヨークにおいて最もパイロットにとってすばらしいことがありました。

「911」という事件、私たちがお客様に安全な運航を提供するコックピットがテロリストによって奪われ、航空機自体が殺人兵器となり何千人もの命を奪われました。これは私たちにとって極めて屈辱的な事件です。この事件でテロリストと戦い亡くなられたUNITEDとAMERICANのパイロットは翌年、国際定期航空操縦士協会(IFALPA)の総会の表彰式で表彰されました。

変わって今日は、同じニューヨークにおいてパイロットのすばらしい活躍で機上も地上も一人の死者も出さず不時着、私たちにとって感動する出来事でした。私たちには、機上の人命だけでなく地上の人命をも守る義務があります。
 機長は空軍出身で、米国定期航空操縦士協会(ALPA)で航空事故調査委員会の委員長を歴任。さらに事故時おけるパイロットの心理学を学んでいたそうです。極めて冷静に判断された今回の事故、まさに基本が忠実に守られ、機長も副操縦士も最大限のパフォーマンスを発揮したのでしょう。
 私たちは離陸する前に、ひとつのエンジンが故障した場合の行動の確認を行っています。飛行機はエンジンひとつが止まっても安全に離陸できます。けれども離陸時にすべてのエンジンが故障した場合の想定はしていません。しかし、訓練していたエンジンが一発しかない小型機でエンジンが止まってしまった場合の鉄則、「離陸した滑走路に戻るな。」があります。なぜなら、離陸直後にエンジンが止まった時に、そのまま180度旋回した場合飛行機は揚力を失い確実に墜落してしまうのです。
今回はエンジンが完全に止まったかどうかはわかりませんが、離陸後滑走路にはもどらず、ハドソン川に向かった、まさに鉄則が守られています。
さらに私たちがいつも後輩たちに言っている事、「どんなことがあっても絶対にあきらめるな。そして機長は最後まで笑っていろ、不安な顔を部下に見せるな。」こうしたことですばらしいコックピット内のパフォーマンスがあったでしょう。
 
 さらに着水後の救助態勢もすばらしかったですね。フェリーや水上タクシーの人々のすばやい行動が、この事故で死者を出さなかった最終的な要因でしょう。彼らは日ごろからこうした訓練をしているとのこと。世界何処の船乗りでも常にこうした事態に対応しているのです。私も船で遊びますが人命救助は海の男の使命だと思っています。

 ひとつだけ言いたい事があります。過去、残念ながら事故でなくなられたパイロットは多数います。彼らもまた今日の機長のようにきっとすばらしい技術とコックピットのパフォーマンスを発揮してたと思います。残念ながら運が無かったのでしょう・・・

 
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wakaba

私も、犠牲者が一人もいなかった事に感動しました。航空関係者にとって、またニューヨークに住む人にとって素晴らしいニュースとなりましたね!
by wakaba (2009-01-17 08:35) 

うつぼ

昨日の朝ニュースで見ましたが、非常に冷静なご判断だったんですね。
100%安全、と信じたいところですが、そういう乗り物はないわけで、いかに100%安全に近づけるか日頃から心がけて操縦されるmichaelさんをはじめ機長の皆さんのお陰で(整備の方々も、ですね)私たちは安心して空の旅を楽しめるんだ、ということを、今回のニュースやmichaelさんの記事で改めて思いました。
by うつぼ (2009-01-17 08:38) 

lovin

昨日の朝起きてTVをつけた時に
このニュースをやっていました。
冷静な判断と、技術。
いざというときに発揮できる、すごいです。
また、その後の救助の早かったのも、
そばらしい連携だったようですね。
犠牲者が出なくてよかったです。
by lovin (2009-01-17 09:36) 

Tara

操縦士の方の冷静な判断と勇気、乗務員、乗客と
救助隊、多くの人の連携がこのような良い結果に
結びついたのを知ると、やはり感動以外に言葉は
ありません。暗澹たる事件も多い中、人間の叡智、
優れた良い面を見られるのは嬉しいですね。

この機長さんは、今後も事故の研究等でますます
貴重な貢献を続けていかれるのでしょうね。でも、
このような経験をされた後でも、パイロットの方と
いうのは実際に飛びつづけることを望まれるので
しょうか?一乗客としてさえ、普通のフライトですら
「空を飛ぶ」のがコワイ私には、スゴイことだと思っ
てしまいます(レベルの低い感想で申し訳ありま
せん)。

人の命を預かる、強い精神力を要求されるお仕
事だと改めて知りました。Michaelさんもご健康
に気をつけて、これからも頑張って下さい。
by Tara (2009-01-17 10:39) 

noie

テレビでニュースが流れたときにドキッとしましたが、
全員無事と知り、思わず拍手しておりました。
状況判断と行動力が見事で、救助態勢も素晴らしい!!
ほんと、よかったですね。(*^^*)
by noie (2009-01-17 14:07) 

ルビー

ハリウッド映画のような事件。しかもハッピーエンドのスペクタクル映画のようですねえ。この時間帯、この機長、この天候条件すべてが巡り合わせたことなのでしょうが、本当に良かったです。
by ルビー (2009-01-17 14:23) 

Jenny♪

本当に全員無事で良かったです。
機長の判断力と決断力が適切だったのでしょうね。
運行乗務員の方々は普段から厳しい訓練とテストを受けていらっしゃるのは存じているのでいつも信頼して搭乗しています。
by Jenny♪ (2009-01-17 14:30) 

hospitale

日頃の訓練と機長の適切な判断と決断、そして船乗り達の素早い水難救助により、犠牲者が出ずに済んで良かったです。
またこうした訓練を実践している航空スタッフにもっと感謝しながら、飛行機に乗らなければなぁ・・・と感じて止みません。

原因は「バード・ストライク」だろうと言われているようですが、子供の頃に見た飛行機図鑑にも墜落の一因として紹介してあったのを想い出します。昨日観たTVニュースでは、ライフル銃で飛行場の鳥を威嚇したりしているようですが、飛行中となるとそうはいかないと思います。

私はズブの素人ですが、鳥が入って来れない形状のエンジンが開発されればなぁ・・・と子供ながらに思っておりました。
by hospitale (2009-01-17 15:36) 

にいこ

テレビで機長さんが 避難するときに機内を2度まわり確認をしてからご自分が機を離れたと聞きました。
水没の危険がある中そのように行動されたということはすごいことですね。


by にいこ (2009-01-17 16:30) 

Krause

「全員無事」、なんと素晴らしく嬉しいことなんだろう、というのが一番最初の気持ちでした。またそのとき、約40年ほど前にDC8がサンフランシスコで不時着水したのを思い出しました。このときも「全員無事」でした。
仕事で精密機器を扱っていますが、どれだけ完璧に仕上げても不具合が発生することがあります。「その時どう対応するのか」、が大切なのですがその点でも当社はまだ不十分です。ときどき飛行機のソフト・ハード面での安全性と性能・効率を思い、自分の仕事ぶりを大いに反省しています。
by Krause (2009-01-17 19:59) 

bluebird

今、夫が出張でアメリカに居ます。
事故が起きた時間、飛行機に乗ってたわけでも、
ニューヨーク付近に居たわけでもないのですが、
やはりドキッとしたニュースでした。

機長の判断、技術の素晴らしさ、周りの救援体勢、
すべて素晴らしかったですね。
しかも、水没しつつある機内を2回見て廻って、
安全確認をしたという機長のプロ意識、
素晴らしいとおもいます。

一人の犠牲者もでなかったこと、
本当に良かったと思います。
by bluebird (2009-01-17 20:27) 

中島茂信

このニュースに関して、マイケル機長がどんなコメントをするか、あるいはコメントをしないか、非常に興味がありました。事故に見舞われた飛行機を操縦していた機長の判断力、その他のスタッフ、搭乗者だけでなく、救助に参加した人々に拍手したいし、ノーベル平和賞をあげたいと思っています。
ブラボ〜〜〜!
by 中島茂信 (2009-01-17 22:06) 

chercher

ニュースをみて、機長の素晴らしい技術・判断力に
感動しました!
全員無事、本当によかったです!


by chercher (2009-01-18 00:16) 

nachic

いろんな運が重なった奇跡ですね。
ギリギリのところで人間を試される。
全員が無事なんて、すごすぎます。
機長はもちろん、乗務員も乗客も、救助も的確で
冷静で、ひとつ欠けてもどうだったのだろうかと。

素晴らしい機長だけど、英雄に祭り上げられて
彼の生活を壊さないようにしてほしいなと思い
ました。
by nachic (2009-01-18 00:23) 

てりー

機長の判断、そして管制官や水上関係者との連携、子供や女性優先の避難、凍えるハドソン川で、すべてが神業的な出来事でした。安全や危機管理のお手本となるケースになることでしょう。米国をはじめとして暗い話題が多い中、不幸中の幸いとは言え、まさに映画のワンシーンのような出来事でした。
by てりー (2009-01-18 09:54) 

ジョージ1

はじめまして いつも楽しく拝見してます。
この連携プレイには感動しました。
後、食いしん坊さんの、「どんなことがあっても
絶対にあきらめるな・・・」
職種は違えど判る気がします。

by ジョージ1 (2009-01-18 11:37) 

ハチドリ

Michelさん、初めまして。
私のお気に入りうつぼさんのブログから飛んでまいりました。
いつもレベルの高い美味しそうなお料理を楽しみに読ませて頂いておりました。

空の専門家としての今回の不時着水の見解に感じ入りました。
私は年に2~3回、貴社の飛行機でサンパウロと日本とを往復しております。
飛行機に乗った限りは我々の命は操縦士の方に100%お預けしているのですね。
30年以上飛んでいても、怖い目に一度も遭ったことがないのはMichelさんのような素晴らしい責任感に溢れる機長さんの心意気のお陰なのだと改めて感謝いたします。
これからも宜しくお願いいたします。

いつも楽しみに聞かせて頂いている機長さんのアナウンス、最近はポルトガル語でお話してくださる思いやりに思わず微笑んでおります。
by ハチドリ (2009-01-18 13:30) 

michael

皆様:今回の事故、現在米国国家運輸安全委員会で事故の調査中ということで、その時何が起こったかのコメントはできませんが、結果だけを見れば、その飛行経路や着水の判断はものすごく参考になります。
 私たちは、過去の事故はすべて教訓としています。ライト兄弟が初めて空を飛んでたった100年で航空がここまで発達できたのも、事故の正しい解析と再発防止がなされた結果なのです。
by michael (2009-01-18 15:11) 

もとこさん。

cap.michael こんばんわ。
完璧な機長の判断と技術、客室乗務員のパニックコントロール、致命的なパニックに陥らなかった乗客、そして地上の方々の見事な活動。このような感動的なパフォーマンスに接すると、今でも涙が出ます。結果が良くて本当に幸いでした。
神様のお与え下さった奇跡を、機長以下誰も逃さなかった事、永遠に語り継がれるでしょうね。

by もとこさん。 (2009-01-18 23:37) 

鯉三

CNNなどを通して繰り返しこのニュースを見ました。以前高知空港での前輪が出ないままでの胴体着陸もパイロットの技術は素晴らしかったですね。

一方的に旅客として航空機を利用する者としては、安全性を常に重視して利用する航空会社を選んでいます。でも、子供の頃から旅客機ファンなので、機内で最悪の状況に出くわしたら男らしく腹をくくろうと、いつもそう思って機上にいます。
by 鯉三 (2009-01-26 20:24) 

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