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福岡で鯖の刺身と胡麻さば [お店(福岡)]

国内線になって嬉しいこと、それは時差や深夜のフライトが無くなったことです。早朝のフライトはありますが起床は4時半くらい、歳を取れば早起きは全く苦になりません。そして福岡の泊まりができたこと。私に取って福岡の泊まりは元祖食いしん坊の始まりだったのです。十数年ぶりの福岡、もちろん魚です。福岡で食べる魚は本当に美味しい。この時期はこれです。
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鯖の刺身。私が一番好きな魚の一つです。釣りたて鯖はよく刺身で頂きます。脂の乗った鯖は最高にうまい。
ただし皆さんもご存知の通り、鯖を生で食べるのにはリスクが伴います。アニサキスという寄生虫です。ヒトが魚を生食したときに、一緒にアニサキス幼虫が侵入してしまうと胃壁や腸壁に穿入して腹痛を起こします。これをアニサキス症と呼びます。自覚症状のない緩和型と激しい腹痛や嘔吐を伴う劇症型があり、この違いは過去に感染し、すでに感作されているかどうかによるものと考えられていますが、まだ不明な点も多いとのこと。
 現在、アニサキス症は薬物療法が確立されておらず、内視鏡による摘出が唯一の治療法とされています。アニサキスは熱や冷凍により死亡しますが、香辛料等は殺虫効果がなく、魚介類を生食する場合には注意が必要です。
 それではなぜ福岡では生で鯖を提供するのでしょう。アニサキスについて見てみましょう。
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 アニサキスは終宿主のクジラ・イルカに寄生している成虫が卵を産み、海水中に産出された卵は、孵化して幼虫となります。この幼虫をオキアミ類(中間宿主)が捕食し、この中で脱皮し、感染性のある第3期幼虫となります。オキアミるいは魚の餌で魚(待機宿主)に食べられると、幼虫は感染性を維持した状態で寄生します。これらの魚がクジラ・イルカ(終宿主)に食べられると、その胃の中で成虫になります。
 終宿主の体内に入るまではアニサキスは幼虫であり、脱皮しながら成長していき、終宿主の体内でやっと成虫となり、卵を生むことが出来るようになるというサイクルとなります。
 さてここから本番です。アニサキス症の主の原因種となるAnisakis simplexには全く外見が同じで遺伝子が一部異なる同胞種がいて、それぞれAnisakis simplex sensu stricto:ASSS、Anisakis pegreffii:APと分類されます。
 日本の近海で穫れるサバに含まれるアニサキスを分析したところ、日本海側ではほとんどAP、太平洋側では多くがASSSと生息域によって異なることがわかりました。
 一方、アニサキス症の患者から摘出されたアニサキスを分析した結果では、ほぼASSSしか報告されていません。
 ここで注目したいのが「Anisakis simplex sensu stricto:ASSS」は宿主が死ぬと内臓を離れ身まで移動することが多いのに対し、「Anisakis pegreffii:AP」は身へ移動せず寄生している内臓にとどまることが多いということ。
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したがって日本海側の鯖は生食が可能ということなのです。ちなみに私は大鯖を釣ると生きているうちに内臓を取って保存します。さらに3枚に下ろした後は身を観察してアニサキスの有無を確認します。いれば取れば良いだけです。

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こちらは胡麻鯖。
日本近海の鯖にはマサバとゴマサバの2種類がいますが、九州の胡麻鯖という料理、ゴマだれを使うので胡麻鯖と言います。鯖自体はどちらを使っても良いでしょう。

生の鯖は本当に美味しいですが、アニサキスのリスクは避けられません。お気をつけて。

追伸:近年青魚にアニサキスが増えています。秋刀魚、ニシン、サケなど私も沢山みました。

柳橋連合市場:https://yanagibashi-rengo.net

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TaekoLovesParis

見るからにおいしそうな鯖のお造り。皮への包丁の入れ方がさすがプロ。アニサキス、冷凍して使えば大丈夫とのことで、アジのたたきを「解凍品」で売ってたのに驚きました。
by TaekoLovesParis (2023-03-07 14:35) 

michael

TaekoLovesParisさん:アニサキス対策で冷凍した魚を食べるのはシャケのルイベが始まりと思いますが、鯵の冷凍を解凍して食べるのはちょっといけませんね。組織が壊れて水っぽくて美味しくなさそうです。
by michael (2023-03-09 10:58) 

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